欧州の陶磁器によく登場する
ウィローパターン ( 柳の図 ) という絵柄がある。
ブルーウィロー八寸皿 ( 20世紀初頭、デルフト )
一般的には楼閣、塀、橋、三人の人物、船、島、
そして柳の木が盛り込まれ、コバルト ( 青呉須 ) の
ディキャル ( 転写技法 ) の作品なので、欧米では
青い柳 = ブルーウィローと呼ばれています。
身近なところでは英国の老舗紅茶ブランドの
フォートナム&メイソンやトワイニングの茶器に
採用されてるのはご存知の通りなのですが、
欧米で人気のこの絵柄、よく見るとなんとも
オリエンタルな雰囲気でしょ。
この絵柄に隠された物語を紹介します。
記事の続きは右下の 「 続きを読む 」 をクリックしてください。
story by アートギャラリー甲比丹 無料鑑定 出張鑑定 骨董 古美術 株式会社キーアクト
ウィローパターン ( 柳の図 ) という絵柄がある。
ブルーウィロー八寸皿 ( 20世紀初頭、デルフト )
一般的には楼閣、塀、橋、三人の人物、船、島、
そして柳の木が盛り込まれ、コバルト ( 青呉須 ) の
ディキャル ( 転写技法 ) の作品なので、欧米では
青い柳 = ブルーウィローと呼ばれています。
身近なところでは英国の老舗紅茶ブランドの
フォートナム&メイソンやトワイニングの茶器に
採用されてるのはご存知の通りなのですが、
欧米で人気のこの絵柄、よく見るとなんとも
オリエンタルな雰囲気でしょ。
この絵柄に隠された物語を紹介します。
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実はこの絵柄、遠い昔の中国の悲恋物語がモチーフになってます。
昔々の中国、豪邸に住む政府の高級官吏の
娘でクーン・セ ( koong-se ) という名の
大変美しい女性がいました。
彼女はお屋敷で経理担当秘書官として
雇われていた身分の低いけど働き者で
有能なチャン ( Chung ) という若者と
恋に落ちてしまいます。 しかしそれは
身分が違う二人の禁断の恋だったのです。
それを知った高官の父親は激怒し、
チャンを解雇し屋敷の周りにフェンスを
張り巡らして二人が会えないようにする
ばかりか、クーンセを身分の高い青年将校
タージン ( Ta-jin ) と無理矢理結婚
させようとします。 美しい娘と結婚
できると喜んだ軍人タージンはプレゼントの
宝石箱を手に船でお屋敷に到着します。
結婚式の前夜、チャンは屋敷の侍女たちの
手引きで密かにお屋敷に忍び込みました。
チャンは“ 一緒に逃げよう ” とクーンセを
誘い二人は屋敷を抜け出しますが、途中、
父親に見つかってしまいます。 二人は懸命に
橋を渡り逃げ父親は追いかけます。
なんとか小船を見つけた二人は、屋敷を離れ
遠くの小島に駆け落ちをします。
数年間二人は幸せに暮らすのですが、
とうとう恥をかかされた青年将校タージンに
居所を見つかってしまい、チャンは捕まり
殺されてしまったのです。 それを知った
クーンセも自ら命を絶ちます。
その純愛を知った神様は二人を二羽の小鳥
に変え、永遠の愛を与えました。
という戯話なのですが、その場面、場面が
このブルーウィローというお皿の絵柄に
表現されているのです。 橋の上の三人は
宝石箱を持つチャン、純潔を表す糸巻きを
持つクーンセ、そして逃げる二人を鞭を
振り上げて追いかける官吏の父親の図。
また、左上の二人が逃げるのに使った船と
逃避行先の島、そして仲良く戯れて飛ぶ
二羽の小鳥も描かれています。
もちろん、名前の由来となった柳の木や、
大きな屋敷、フェンスなどもありますね。
よく見るこのウィローパターンには
かくも多くの中国の悲恋物語が
隠されていたのです。
違うパターンのブルー&ホワイト七寸皿 ( 19世紀、デルフト )
このブルーウィローの絵柄は世界中の有名
陶磁器メーカーが昔から使っていますので
アンティーク好きの人なら一度は目にした
ことがあると思うのですが、この絵柄には
中国の悲恋物語が隠されていることを知って
いる人はウィローパターン通と言えます。
でも、実はこの物語には更に裏話があります。
ここからが知る人ぞ知る、のお話。
実はこの物語は中国とは全く関係が無く、
絵柄の考案者は英国のローヤル・ウースターから
独立しカーフレイの窯を買収したトーマス・
ターナーという人物が1780年に考案したと
されています。 その後、カーフレイ窯の衰退に
より、実際に最初の量産体制をとったのは
ミントン社のトーマス・ミントンだと言われて
います。 トーマスは彼は自社の製品の販売促進
のために絵柄にストーリー性を持たせたのが
この悲恋物語の始まりらしいのです。
やはり当時はシノワズリー ( 東洋趣味 ) が
流行っていたからなのでしょう。
その後、この絵柄は大成功を収め、英国の
ウースターやスポード、ウェッジウッドなど
有名メーカーは言うに及ばず、オランダは
デルフトのルグー窯などでもいろんな
パターンのブルーウィローが焼かれ最終的
には日本にも伝播して大戦戦前後から
日本製のブルーウィローもたくさん焼かれる
ようになり、現在も世界中で使われている
大ヒットデザインなのです。 おわり
昔々の中国、豪邸に住む政府の高級官吏の
娘でクーン・セ ( koong-se ) という名の
大変美しい女性がいました。
彼女はお屋敷で経理担当秘書官として
雇われていた身分の低いけど働き者で
有能なチャン ( Chung ) という若者と
恋に落ちてしまいます。 しかしそれは
身分が違う二人の禁断の恋だったのです。
それを知った高官の父親は激怒し、
チャンを解雇し屋敷の周りにフェンスを
張り巡らして二人が会えないようにする
ばかりか、クーンセを身分の高い青年将校
タージン ( Ta-jin ) と無理矢理結婚
させようとします。 美しい娘と結婚
できると喜んだ軍人タージンはプレゼントの
宝石箱を手に船でお屋敷に到着します。
結婚式の前夜、チャンは屋敷の侍女たちの
手引きで密かにお屋敷に忍び込みました。
チャンは“ 一緒に逃げよう ” とクーンセを
誘い二人は屋敷を抜け出しますが、途中、
父親に見つかってしまいます。 二人は懸命に
橋を渡り逃げ父親は追いかけます。
なんとか小船を見つけた二人は、屋敷を離れ
遠くの小島に駆け落ちをします。
数年間二人は幸せに暮らすのですが、
とうとう恥をかかされた青年将校タージンに
居所を見つかってしまい、チャンは捕まり
殺されてしまったのです。 それを知った
クーンセも自ら命を絶ちます。
その純愛を知った神様は二人を二羽の小鳥
に変え、永遠の愛を与えました。
という戯話なのですが、その場面、場面が
このブルーウィローというお皿の絵柄に
表現されているのです。 橋の上の三人は
宝石箱を持つチャン、純潔を表す糸巻きを
持つクーンセ、そして逃げる二人を鞭を
振り上げて追いかける官吏の父親の図。
また、左上の二人が逃げるのに使った船と
逃避行先の島、そして仲良く戯れて飛ぶ
二羽の小鳥も描かれています。
もちろん、名前の由来となった柳の木や、
大きな屋敷、フェンスなどもありますね。
よく見るこのウィローパターンには
かくも多くの中国の悲恋物語が
隠されていたのです。
違うパターンのブルー&ホワイト七寸皿 ( 19世紀、デルフト )
このブルーウィローの絵柄は世界中の有名
陶磁器メーカーが昔から使っていますので
アンティーク好きの人なら一度は目にした
ことがあると思うのですが、この絵柄には
中国の悲恋物語が隠されていることを知って
いる人はウィローパターン通と言えます。
でも、実はこの物語には更に裏話があります。
ここからが知る人ぞ知る、のお話。
実はこの物語は中国とは全く関係が無く、
絵柄の考案者は英国のローヤル・ウースターから
独立しカーフレイの窯を買収したトーマス・
ターナーという人物が1780年に考案したと
されています。 その後、カーフレイ窯の衰退に
より、実際に最初の量産体制をとったのは
ミントン社のトーマス・ミントンだと言われて
います。 トーマスは彼は自社の製品の販売促進
のために絵柄にストーリー性を持たせたのが
この悲恋物語の始まりらしいのです。
やはり当時はシノワズリー ( 東洋趣味 ) が
流行っていたからなのでしょう。
その後、この絵柄は大成功を収め、英国の
ウースターやスポード、ウェッジウッドなど
有名メーカーは言うに及ばず、オランダは
デルフトのルグー窯などでもいろんな
パターンのブルーウィローが焼かれ最終的
には日本にも伝播して大戦戦前後から
日本製のブルーウィローもたくさん焼かれる
ようになり、現在も世界中で使われている
大ヒットデザインなのです。 おわり
Season’s Greetings 2011 by keiko (12/25)